2018.04.02
銘木とは? 美しい希少材5種を画像付きで解説【販売あり】
銘木と言われる木材があります。そもそも算出量が少なく希少な樹種に対して使われることもあれば、普段目にするごく一般的な樹種でも「模様の美しさ」や「樹齢」そして「出で立ち」など、様々な要因から銘木と成る一本もあります。
一本一枚ごとに表情・放つ雰囲気が異なる木材ならではの表現とも言えるでしょう。
このページでは「世界三大銘木」と呼ばれる樹種の紹介に加え、半世紀に渡り木材に触れてきた渋谷が選ぶまさに「銘木」と呼ぶに相応しい木材と、彼らが銘木と呼ばれる所以をご紹介致します。
1、 世界三大銘木と呼ばれる樹種
木材の中には世界三大銘木と呼ばれている樹種があります。
「チーク」「ヨーロピアン・ウォールナット」「キューバン・マホガニー」がこれらに該当します。どの樹種も非常に美しい断面を示すことが大きな特徴です。そのため、古くから高級家具材として利用されてきました。日本でこのような表現が広まったのも、明治時代以降にヨーロッパから輸入される家具に積極的に利用されてきたからであるという説もあります。また、いずれも重厚な樹種であることから、船舶の素材として使われていた時代もありました。
その利用価値の高さから、現在は伐採が制限されている地域も多くなってしまいました。特に「キューバン・マホガニー」については伐採され続けた結果、ほぼ絶滅寸前の状況となってしまいました。今や木材だけでなく、種子の移動もワシントン条約で禁止されています。
裏を返せば、それほどまでに人を惹きつけてやまない魅力がこれらの樹種にはあったのでしょう。残念ながら、今やその魅力を体感できる機会は非常に少なくなってしまいました。
2、 渋谷の選ぶ銘木5選
銘木には明確な定義は無いように感じます。
前述の通り、木材には一本一本異なる魅力があり、またその魅力も主観的なものでしかありません。そういった意味では、私達にも私達なりの感性で長いあいだ木材と向き合ってきた中で、思い入れのある樹種というものが存在します。取り扱ってきた件数自体ももちろんですが、それぞれの樹種についての理解も随一であると自負しております。
ここでは私達が数十年もの間、木材に触れてきた中で特に心の動きを感じた木材達をご紹介致します。私達の厳選する銘木5種があなたの感性を刺激し、新たなひらめきを得るための一助となれば幸いです。
チーク
前述の世界三大銘木の1つにも含まれていますが、私達の中でも非常に思い入れの深い樹種となります。古くは船舶に利用されるなど非常に強靭な樹種でありながら、その一方で切断面が美しい光沢を放ち、家具材としても愛用されて参りました。
また、チークは経年変化が大きく現れる樹種でもあります。木材として加工したばかりのチークは色合いもやや薄く、物によっては筋や班が非常に目立つ材もあります。しかし、これらは日が経つにつれ薄くなり、全体の色合いも当初は薄めの茶色だったものがより光沢のある綺麗な飴色へと変化するのです。
まだ変化の起きていないチークを購入し、移り変わりを眺めるも良し。最初から「時を経た」チークを購入し、その魅力を存分に楽しむも良し。しかし、ご安心ください。どちらの選択肢を選んでも、チークは必ず、あなたを後悔させません。
カリン
カリンは赤みがかった木肌を持つ木材です。
個体差が激しく、燃えるように真っ赤な材もあれば、どちらかというとオレンジ色という表現が合いそうな色調の材も存在しています。カリンはその美しさから高級な部類の木材として扱われますが、その中でも特殊な「杢」を持つものは、さらに価格が跳ね上がります。
杢とは木材の断面に現れる木目のうち特殊なものを指す際に使われる言葉であり、その杢の入り方次第で数十種類の呼び名があります。木が育つ過程で傷を受けたり、一種の病気のような状態となった際に曲がってしまったり、瘤になってしまった箇所に対して現れます。
カリンの瘤は非常に美しい杢を示すとして有名です。複雑な杢が入り混じり、かつ大きな一枚板は文字通り桁違いな価格をつけることもしばしばあります。
木曽檜
木曽檜はその名の通り、長野県から岐阜県にかけて産出される檜のことを指します。
檜材はその耐久性や加工の容易さから建築材として非常に優れ、古くから神社や寺院の建築に用いられて参りました。私達の倉庫がある奈良県にも檜材を用いた建物は多くあり、法隆寺に至っては世界最古の木造建築物であると言われています。法隆寺だけでなく、奈良にある歴史的建造物の多くに檜材が使われています。
もちろん、私たちも何十年も前から檜材を扱って参りました。「香りがいい」ことももちろん檜の魅力ではありますが、ご利用を検討されているお客様には表面的な部分だけではなく、日本人はもっと密接に檜と関わってきたのだということを、少しでもお伝えできればと思っております。
高野杉
高野山から産出される杉を高野杉と呼びます。
この木が銘木たる所以はやはりその特殊な生育環境でしょう。古くから仏教の聖地とされ、現代においては多くの世界遺産が存在するこの地から生まれる木材は、非常に特殊なストーリーを持ちます。もちろん産出量も多くはありませんし、厳格な保護・管理がなされています。
その材は、見た目こそ稀有な模様が入るわけではありませんが、どこか神聖な雰囲気を纏います。私達もこの材と向き合うときは、不思議と背筋が伸びるように感じます。
古材
特定の樹種を指す言葉ではありませんが、ワールドデコズにおいて古材は非常に重要な意味合いを持ちます。古材という言葉は長年家屋で使われてきた木材や、地中や水中に何十年、何百年と埋もれて化石化した木材のことを指す言葉として使っています。
古材は新材に比べ「圧倒的に長い時」を過ごしています。言い換えると、それだけ様々な経験しているということです。雨風に晒された材もあれば、人の生活を間近で支えた材もある。一本一本が全く別のストーリーを経験しているのです。
その過程で刻まれた傷や纏う風合いはその材独特のもの、つまり世界に1つだけのものとなります。明らかに新材とは異なる表情です。私達はその魅力に取り憑かれ、国内国外問わず多くの古材を集めて参りました。ある種の宝石にも似たその風合いを、みなさんには是非体感していただきたく思っています。
3、 銘木の『銘』が示す意味
そもそも銘木の「銘」にはどのような意味があるのでしょうか?
銘という言葉はその文字の通り、古くは金属製の器物(鐘や碑など)に刻まれた言葉を広く指す際に使われる言葉でした。その行為には「行動の戒めとなる文言を入れ、自身の在り方を律する」意味が込められています。今では器物に刻むのではなく自らの心に直接刻むことで「座右の銘」と言った使われ方もしています。
他方では「銘を打つ」という使われ方をし、包丁や器物などに製作者がその名を刻む行為を表現する言葉として利用されています。また、名目をつけるという意味合いで「〜を銘打って」と使われる場合があります。
では改めて「銘木」とは、一体何を指すのでしょうか?
振り返ると、「銘」には「意味を込める」という意味が含まれています。
これをそのまま受け取ると、銘木はつまり「意味の込められた木」と考えることができます。
“意味”の解釈は希少価値だったり美しさだったり、その人にとっての身近さだったり…おそらく人それぞれでしょう。そして、何の意味も持たない木は1つとして存在していないと私達は考えています。
4、 銘木を取り扱う際、必ず意識しなければいけないたった1つの注意
私達は上述の通り、「木には一本一本ストーリーが存在する」と考えています。
普段生活していると、あまりにも身近すぎて忘れてしまいがちですが、木は生き物です。今目の前にある一本には2つとして、全く同じ日々を過ごしてきたものは存在していません。
その生き様を私達自身がしっかりと理解しているのか否か。口を持たない木に代わり、その木を必要としている方に対し生き生きと語ることができるのか。私達の振る舞い次第で銘木は「銘木としての絶賛を受ける」のか、それとも「ただの棒切れとして朽ちていく」のか正反対の未来を歩むこととなります。
木材を取り扱う以上、そのことを常日頃から忘れてはいけない。
これは私達が担うべき責任であり、私達にしか成し得ない仕事であり、必ず意識しなければいけないたった1つの注意であると感じています。
5、 銘木のお取り扱い・販売
上述の銘木5種について、ワールドデコズではお取り扱いがございます。
どれもこれも、自信を持って送り出すことのできる選りすぐりの一本です。
あなたにとっての銘木を見つけるお手伝いをさせていただきますので、ぜひお気軽にご希望をいただければ幸いです。