2019.02.25

チーク材の3つの特徴。なぜ無垢チーク材は世界中で愛されるのか?

ワールドデコズではタイやミャンマーに足を運び、チークの一枚板や古材、オブジェなどを積極的に日本に持ち込んでいます。
納得のいく材と出会うのは生半可な気持ちではできません。日本でアタリをつけた後は実際に現地に赴き、あちこちの村を回りながら聞き込みを繰り返しながら飛んで回ります。想像以上に壮絶な宝探しです。

 

かつてビルマが英国の植民地だった時代、英国はこのチーク材に大きな有用性を見出し、積極的な伐採を行いました。多くは造船用の材として使用されましたが、時が経つにつれ次第に建材として、また家具材として、その用途は徐々に変わっていきました。

 

チーク材はなぜそこまで愛されたのでしょうか?
また、なぜ今も愛され続けているのでしょうか?

 

本記事では過去から現在まで、チーク材が愛され続ける所以についてご紹介いたします。

 


【目次】
1.チーク材の用途の変遷
2.チーク材の3つの特徴
3.古材チークという存在
4.ワールドデコズが古材チークにこだわる理由
5.まとめ_チーク材の3つの特徴

 

 

1.チーク材の用途の変遷

チーク材が世界中で愛される理由をお話する前に、そもそもチーク材が世界中でどのような扱い・評価を受けてきたのかを時系列を追って簡単にご紹介いたします。

 

もともと、現地では建材として使用されていたチークですが、その有用性が注目され始めたのは、英国が「造船用の材」としての価値を見出したことに端を発します。

 

当時の英国は周辺諸国との戦いや植民地の拡大を狙い、軍隊の強化に力を入れていました。その中でも特に戦略上重要だったのが海軍の増強です。チークは木材でありながら強度が高いことに加え、油分を多く含むことにより腐食や水分にも強く、造船用の材として非常に優秀だったのです。

 

チークが使われた世界最古の橋は1849年に作られた、ミャンマー中部にある「ウーベイン橋」です。全長およそ1.2kmのこの木造の橋は、もともと旧王宮に使用されてたチーク材を再利用して作られたものと言われています。100年以上も昔から使用されている材を用いたこのウーベイン橋は、修繕を繰り返しながらも、今も現役の通路として使用されています。

 

車両への利用としては1883年に運行を開始した「オリエント急行」の内装としてチークが使われていたことが有名ですが、実は1900年代の初めには、日本の鉄道でもチークが使われた記録が残っています。「皇室用客車」という皇族が鉄道で旅行をする際に使用する車両があるのですが、1902年に製造された2号御料車にはチーク材が使用されました。以降、各号車の外装として、数度にわたりチーク材が登場します。

 

チーク材が家具として世の中に出回るのはもう少し後の話です。というのも、チークはその頑強さから加工が非常に難しく、時間と手間をかけてようやく出来上がったそれはとてもではありませんが一般市民が手を出せる代物ではなかったのです。

 

それからしばらくして新製法のノコギリが生み出され、ようやく加工がいくらか楽になった頃には、チークの森はその数を大きく減らしてしまっていました。

 

 

2.チーク材の3つの特徴

チーク材はその特徴から、過去から現在にかけて世界各国で愛されてまいりました。
その特徴をあらためて3つに分類し、ご紹介致します。

 

強靭さ

その木材離れした強靭さは非常に特徴的です。
単純な硬度もそうですが磨耗にも強く、割れや裂けへの耐性や、伸びが少ないことも木材として非常に優秀なところです。

 

興味深いのは、製材の過程で材の中にシリカ(石英/水晶)を含む場合があるということです。これにより、ただでさえ目の詰まった材はさらに頑強になり、ノコギリやカンナをかけるのも一苦労なほどの強度となるのです。

 

耐腐食性

チークは非常に油分を含んだ材です。
その恩恵として酸化や虫、水分、腐食に対して耐性を持ちます。

 

これにより、チークで作られた家具は耐用年数が非常に長く、「ヴィンテージ品」としてその姿を現代に残すものも多くございます。

 

しかし、その真価がより強く現れるのは建材やエクステリアとして使われたもの、要は「屋外で使用」されたものです。特徴的な飴色から、次第にシルバーへとその色を変化させ、こちらも独特な表情を纏うのです。

 

美しさ

チーク材が圧倒的な人気を誇る一番の理由は、やはりその美しさによるものでしょう。
黄金色の材はツヤ感も相まって非常に美しく、使用による経年変化もまた格別です。室内で利用されていた材は濃厚な飴色へと変化し、屋外で使われていたものは前述の通りシルバーへと変化してまいります。

 

チークの美しさは単純な色合いの話に止まりません。
その杢目もとても美しく、素直な表情をしています。

 

濃淡のコントラストがはっきりと現れつつも過度な主張はなく、落ち着いた安心感のある美しさを見せるのです。

 

 

3.古材チークという存在

上記のような特徴から「ウーベイン橋」のように、チークはしばしば「再利用」される場合があります。「もう一度使いたい」と思わせるような美しさと、「もう一度使っても大丈夫」という安心感、これらを兼ね備えた材がチークなのです。

 

そして、チーク材は前述の通り、経年変化が楽しみな材でもあります。
再利用された材は例外なく、新材とはまた異なる風合いを纏うのです。

 

こうした材を古材と呼びます。

 

過去の使用用途により、変化後の表情は様々です。
しかし、そのどれもが味わい深い雰囲気を醸し出します。
重要なのは、古材は自然の力と時間経過により奇跡的に出来上がるものであり、こうした風合いは人力による加工では決して生み出せないということです。

 

チークの古材は、その状態次第では新材よりも圧倒的な高値を付けることも珍しくありません。その美しさもさることながら、古材として醸成されるまでに過ごした年月、またその時間を適切な環境で過ごすという条件、これら様々な要因がぴたりと噛み合うことは滅多にありません。

 

これがもし、ある程度サイズの大きな「一枚板」となると、上記に加え「樹齢100~200年以上」という条件が加わります。

 

少し話は戻りますが、英国によるチーク材の船舶への利用及び大量伐採は第二次世界大戦、およそ1940年頃まで続きました。はたして、一枚板に使えるようなチークの大木は、現在どれだけ残っているでしょうか? また、残っていたとして、その価値は一体どれほどになるのでしょうか?

 

おそらく、そもそも伐採が禁止されているとは思いますが…。

 

 

4.ワールドデコズが古材チークにこだわる理由

もともとワールドデコズは、多様化する人々の嗜好性やライフスタイルに対応するというコンセプトのもと、画一化されたものではない、完全に規格外の一点ものを取り扱うことを専門として、立ち上がりました。

 

木材の中でも非常に貴重な材であるチーク。
中でも古材となれば、全ての材が独自の変化を遂げ、あたかも別の生き物のような表情を見せてくれるのです。

 

まさにニッチ中のニッチ。
だからこそ、自らの細部までのこだわりを一切妥協したくない皆様のお声に応えられるマテリアルであるとも言えます。

 

古材チークにしか出せない表情。古材チークだからこそ出せる雰囲気。
ぜひ手にとって確かめていただきたく思います。

 

 

6.まとめ_チーク材の3つの特徴

チーク材が現代まで愛されてきた理由は「強靭さ」「耐腐食性」「美しさ」の3つにまとめることができます。

 

そして、これからもチーク材は世界中で愛され続けるのだろうと感じています。
現代において、古材として新たな雰囲気をまとったチーク材は、今後数十年・数百年をかけて更に深い表情へとその姿を変えていくのでしょう。

 

私たちも、そんな変化を間近で見守ることができれば幸せです。