2018.11.22

チークという木を紐解く。木材として選ぶ際の3つの着眼点。

オフィスや施設のグレードを高めるために、内装にチーク材を使用するケースが増えています。チーク材は時が経つほどに、より深い色合いに変わり、落ち着いた重厚感を醸し出す木材です。この世界三大銘木に数えられるチーク材は、見た目の美しさのみならず、耐久性に優れた木材でもあり、供給量が少なくて高価です。

 

そこで、チーク材を内装に使用する際の参考となるように、チーク材について詳しくご紹介します。

 

 

【目次】

1.チーク材の輸出について

2.チーク材が好まれる理由

3.着眼点1:産地

4.着眼点2:新材か、古材か

5.着眼点3:色合い

6.まとめ_チークを選ぶ際の着眼点

 

 

1.チーク材の輸出について           

天然のチーク材は、ミャンマーやインドネシア、インド、タイの東南アジア4か国にしか自生していません。チーク材を建造物の建築資材に使用した歴史は古く、インドの仏教寺院などでは、2000年以上前から使われていたようです。また、チーク材は天然のオイルを含有していて水に強く、造船事業でも重宝されていました。イギリスの会社が、ミャンマーで産出されたチーク材を使用してボンベイで造船を手掛けていましたし、タイからチーク材を輸入していた会社もありました。

 

その後第二次世界大戦の影響で、チーク材の輸出は途絶えてしまいます。しかし、かねてからチーク材に注目をしていたデンマークの工芸デザイナー達が、チーク材を使用した家具を発表して大人気になります。この流行により、チーク材がまた盛んに取引をされるようになりました。その結果、天然のチークの成長が伐採に追い付かなくなり、絶滅寸前までいってしまう事になります。そのため現在では、天然のチークの丸太は輸出されていません。

 

ミャンマー以外の国の天然チークはほとんど伐採されてしまい、現在ではミャンマーからのみ産出されます。このミャンマーの原生林で伐採されるチークは品質がとても良く貴重で、本チークと呼ばれています。また、ミャンマー政府はチーク保護のために厳格な伐採規定を設けていて、市場に出回る数が極めて少なく、チークの高騰化を招いています。このため、インドネシアで植林されたチークが市場に出回るようになりました。このインドネシア産のチークは、ネシアチークと呼ばれています。

 

天然チークが減少した事により、東南アジア以外でもチークの植林が行われるようになりました。現在植林は、アフリカやラテンアメリカ、アジアの各国で行われています。これらの植林されたチーク材は、本チークと比較すると品質で劣ります。これをカバーするため、これらの植林された人工チークを、本チークと偽って輸出している事案が報告されているので、チーク材を輸入する際には注意が必要です。本チークには、ミャンマー政府が印を刻んでいます。本チークを使用した家具や内装を発注する時には、この印が刻んである本チークなのかどうか、確認をするのが賢明です。

 

 

2.チーク材が好まれる理由

チーク材は、木材としての様々な良い特徴を持っています。その特徴として最初に挙げられるのが、水に強いという点です。チーク材が水に強い理由としては、チーク材にもともと含まれている木製タールの存在が挙げられます。

 

この天然のオイルが水を弾くので、チーク材は船の甲板などで使用されていました。悲劇の客船として有名なタイタニック号でもデッキに使用されていて、現在もこのデッキ自体は無傷のままだそうです。また、水に強いので、他の銘木のような水拭き厳禁ではありません。つまり、お手入れが簡単だというわけで、もし汚れたらすぐに水でふき取る事ができます。また、湿気に強いのでアウトドアファニチャーとしても利用されています。

 

チーク材は、虫に強いという特徴も備えています。なぜ虫に強いのかというと、やはり天然の木製タールを含んでいるからです。このオイル成分テクトキノンは、殺虫効果があるので虫を寄せ付けません。この虫を寄せ付けないという特性は日本でも重宝されています。というのは、チーク材がシロアリにも強いからで、もともと持っている耐久性の高さと共に、長い期間愛用する事を可能にする点が評価されています。

 

また、チーク材の木製タールには独特の香りがあり、この香りを好む人達も多く、人気の一因となっています。肌触りという点でも木製タールの効果は大きく、しっとりとした感触を生み出しています。

 

チーク材が好まれる理由には、長年使う事で色合いが変化をするという点も挙げられます。チーク材は最初、褐色がかった色合いなのですが、年を経る事で次第に色が濃くなるという特性を持っています。色合いが濃くなるにつれ、重厚感が増していくので、とても落ち着いた雰囲気を奏でるようになります。

 

オフィス用の家具や内装として、重宝される理由がここにあるというわけです。また、チーク材は摩擦にも強いので、フローリング素材としても多く利用されています。さらに、長年使用している間に深い色合いに変化するフローリングには、独特の味わいがあるという点もチーク材の人気の一因となっています。

 

 

3.着眼点1:産地

チーク材には、天然ものと植林ものの2種類があります。天然もののチーク材は、現在ミャンマーでしか産出されません。また、唯一天然もののチーク材を供給しているミャンマーでは、伐採のサイクルが長いスパンで計画され、実施されています。無計画な伐採を禁止しているので、高い品質を保持しているのです。

 

インドネシアでは天然のチークを輸出していません。インドネシア産のチーク材は、全て植林されたチークとなっています。インドネシア産のチーク材はネシアチークと呼ばれていますが、ミャンマー産の本チークと比較すると、品質の点で多少見劣りがします。何故かというと、植林されたチーク材は成長スピードが早いため、どうしても木の密度が低くなってしまうリスクがあるからです。そのため、ネシアチークは本チークと比べて価格がかなり安くなっています。

 

 

ミャンマーとインドネシア以外の国でも、植林によって産出されたチーク材が輸出されていますが、そのほとんどをインドが輸入しています。インドもかつては天然ものチーク材の輸出国でしたが、現在は保護政策をとっているので天然ものチーク材を輸出していません。そのかわり、輸入したチーク材を加工した家具などを輸出しています。

 

さて、ここまで見てきたように、日本で手に入るチーク材のほとんどはミャンマーかインドネシア産出のチーク材です。このふたつのうち、もし品質にこだわるのなら、ミャンマー産出のチーク材をお勧めします。

 

 

4.着眼点2:新材か、古材か

チーク材を選ぶ時に考慮すべき点として、新材か古材かの違いが挙げられます。本チークの新材の輸出量は少なくてしかも高価なので、日本にはあまり輸出されません。このため、日本で手に入る新材にはネシアチークが多くなり、本チークと比較して、含水率の高いチーク材がほとんどだという状態になっています。

 

新材としてのチーク材は水分が多いため、割れや反りが起きる可能性が生じます。しっかりと乾燥をさせたチーク材ならよいのですが、そうではないのなら古材を選んだ方が賢明です。古材は使用されている間にますます乾燥されていくので、さらに頑丈になっている事が多いものです。では、その古材はどこで手に入るのでしょうか。

 

古材は、古い家屋を解体した時に出回ります。また、船に使用されている事が多いので、古い船からも手に入ります。古いチーク材は、長年にわたって使用されてきており、それぞれが独特の表情を持っています。たとえそれが傷だったり、割れだったりしても、新材には見られない風情を醸し出しています。

 

また、沈没した船から回収した古材は、他のチーク材には無い味わいを感じさせてくれます。ところが、古材の供給は減る一方です。というのは、他の建築素材の方が安上がりなので、チーク材を使用した建物や船が少なくなっているのが現状だからです。そのため、古材は貴重な存在として価格も上昇しています。

 

 

5.着眼点3:色合い

チーク材の色合いは、黄褐色に分類されます。そして、経年変化で少しずつ色が深く、濃くなっていくという特徴があります。この色合いをチーク材の生産地別に見てみると、インドネシアのネシアチークは、若干明るめの色合いをしています。これは、植林によって早く育成されるので、年輪の間隔が広くなり、色合いがそう見えるという事です。

 

また、比較的含水率が高く、木製タールの比率が低くなる事も色合いに影響をしています。加工前のチーク材や、完成品したチーク家具の色合いが明るい場合は、ネシアチークの可能性が高くなります。

 

対するミャンマー製のチーク材は、年輪が詰まっており色合いも濃いという特徴があります。チーク材を選ぶ時に、こういった色合いの違いを参考にするのも良い方法です。また、両方のチーク材で、カナスジと呼ばれる黒いスジが現れる事があり、気になる場合もあるでしょう。しかしこのカナスジは、時が経つと薄くなっていき馴染んでいきます。中にはこのカナスジがあるおかげで、フローリングのキズが目立たないから良いという人もいます。

 

 

6.まとめ_チークを選ぶ際の着眼点

チーク材は、オフィスの内装としても、あるいは家具としても、そこに存在するだけで落ち着いた雰囲気を感じさせてくれる木材です。フローリングの素材としても重宝しますし、アウトドアファニチャーとして使う事も可能です。

 

また、時間が経つほどに味わいが深くなるので、長年愛用する人や企業が多い木材でもあります。そこでもし、チーク材を内装として採用するなら、今回ご紹介した点を参考に、満足のいくチーク材選びを行いましょう。