2019.01.04
まさに千差万別の表情。古材の種類について【販売あり】
ワールドデコズでは、非常に貴重な古材に特に注力して仕入れを行っています。
もちろん、ただ「希少価値があり、お金になる」から注力しているわけではありません。むしろ、古材の利用は日本市場においてはまだまだマイナーな存在です。
ではなぜ、ワールドデコズが古材の販売に力を入れるのか?
答えはシンプルです。会長の渋谷を筆頭に実際の加工に当たる人間まで、ただひたすらに木材が好きなのです。私も含め、その不思議な魅力に取り憑かれてしまったのです。
中でも、古材のミステリアスさは群を抜いています
木材でありながら、石。
一度生命を絶たれながらも、第二の時間を歩む。
気が遠くなるような時を経て、成熟していく。
そうして生まれる豊かな表情。
唯一無二の一点物。
知れば知るほど深くのめり込んでしまう、古材の不思議に触れてしまった私たちは、その魅力をお伝えせずにはいられないのです。
本記事では、そんな古材についてお伝え致します。
種類や表情、雰囲気など、多岐にわたる古材の魅力をお楽しみください。
【目次】
1.古材の生い立ち
2.古材の風合い = 時の流れ
3.自然の力により生まれた古材の表情
4.人々の暮らしの中で生まれた古材の表情
5.古材の選び方。3つのポイント。
6.まとめ_古材の種類について
1.古材の生い立ち
「古材」とはその名の通り、古い木材のことをまとめて指す呼び方です。「古い」の尺度はおおよそ、伐採から100年程度といったところでしょうか? 明確な定義はありませんが、そのくらいの時が流れると非常に素晴らしい風合いを纏うように感じます。
それだけ長い時が流れると、多くの木材は腐敗や風化により朽ちてしまい、原型を留め続けることが難しいものです。しかし、中には様々な要因からそうした環境に耐えうる材が生まれます。
施設の内装に使われたおかげで劣化を遅らせたもの。伐採後、適正に管理された環境の中で大切に保管されたもの。樹木の種類によっては驚くほどの強度で風雨などの外的環境に耐え続けるものまであります。
国内の材で言えば、建材として使用されたヒノキは非常に強い強度と耐用年数を誇ることで有名です。法隆寺は7世紀に創建された建造物ですが、ヒノキを主要な建材として利用しています。実に1,000年以上も負荷に耐え続けている計算となります。
国外の材で言えば、チークがこれに当たります。こちらも強度が高いため原産国では建材として使用されており、大型の建物を解体する際には今でも度々古材が産出されます。また耐水性も高いため、イギリスなどはこれを輸入し、船舶にも活用してきました。様々な外的要因に対して耐性のある素晴らしい材です。
2.古材の風合い = 時の流れ
古材が他の木材と圧倒的に異なる点は、その独特な「風合い」や「存在感」。そしてこれらは、長い「時」を過ごしていく中で生まれます。100年の時間を経ることによって新材にはない風合い、それも人工的には付け加えることのできない雰囲気を纏うのです。
詳細は後述致しますが、もちろん晒される環境や保存状態によって風化の進行度合いや”クセ”が異なりますので「古材」と一括りにするのは難しいですし、同じ樹種の木材ですら全く異なる表情に仕上がることも珍しくありません
3.自然の力により生まれた古材の表情
自然の力によって古材化が進むシーンは大きく二つあります。
それは「風雨に晒されている」のか「風雨に晒されていない」のかの二つです。
風雨に晒された古材
風雨に晒される、つまり湿度や温度、空気の流れなどの外部刺激が激しく材を刺激した場合、こうした材が出来上がります。材は膨張と収縮を繰り返すことで徐々にその身を風化させていきます。
樹木は一年の中で成長速度が早い期間とゆっくりな期間があります。日本の樹木においては一般的に、暖かい時期は比較的成長が早く、寒い時期は成長が遅くなります。熱帯地域においては、雨季は成長が早く乾季はゆっくりとなる傾向があります。
*こうした成長速度の差から「年輪」が形成されます。
成長の仕方が異なるため樹木の中身は、その密度が均一ではありません。密度の濃い部分よりも密度の薄い部分の方が膨張と収縮の幅が大きく、風化の進行速度も速い傾向があります。
*それでも、スギなどの針葉樹に比べるとチークなどの広葉樹は圧倒的に成長速度が遅いため、古材として現代まで残ることができるほどの強度 / 密度を持つのですが。
すると、材の中に風化の速い箇所とゆっくりな箇所が生まれ、こうしたシワ状の木肌を呈するようになります。より過酷な環境や、長い時間の刺激に晒された材ほどシワの彫りが深くなり、価値も高くなる傾向にあります。
風雨に晒されていない古材
自然界で風雨に晒されていない材と言われても、あまりイメージができないかもしれません。しかし、樹木や木材の特性上、時々こうした材が生まれる場合があります。
それは「水中」や「地中」に材が埋まってしまった場合です。外部刺激を受けることは受けるのですが、その刺激は比較的緩やかなものであり、材は数百年もの長い時間をかけてゆっくりと古材化していきます。
日本の古材で言えば「神代(ジンダイ)」という材があります。
各樹種名の頭につけて、神代欅や神代檜などという言い方をしますが、例えば火山噴火や洪水などの自然災害により地中深くに閉じ込められた材が数百年かけて古材化したものを指す言葉です。土地開発の工事の際に偶然発見され、地中から産出します。
チークやカリンでも同様なことが起きる場合があります。また、彼らはそれに加え、水中に材が取り残される。というケースも存在します。というのも、過去、現地では木材の運搬に「水上を船で運搬する」方法を取っていました。
その運搬の過程で荷から落ちてしまったものが水中に取り残され、長い時間を経たのちに再度引き上げられることがあります。現地の水は石灰質を多量に含んでいます。チークは水分をその身に吸収すると同時に、石灰質をその身に蓄えていきます。
結果、材はどんどん強度を増していき、まるで石のような硬度を持った材となるのです。中には本当に「化石」となってしまうものもあるほど。
こうした材は強度 / 重量ともに優れている他、比較的安定した環境で古材化したこともあり、非常に綺麗な朽ち方をしています。一方でその非常な硬度が仇となり、加工が恐ろしく難しい材でもあります。
精緻な家具の材料とすることもいいですが、その強度を生かし、根に近い複雑な造形の部分をそのままオブジェにするような使い方もオススメです。
*ちなみに、日本でも同じ運搬方法が取られていた時代があります。江東区には「木場」という地域があります。江戸時代に、各地の木材がここに集められていたそうです。この辺りの地域は水路が非常に発達していますが、これは持ち込まれた木材を運搬するために用いていたと考えられています。
4.人々の暮らしの中で生まれた古材の表情
伐採から乾燥、建築までが無事に終わり、人々の生活の一部として使われてきた材をご紹介いたします。
とは言ったものの、生活に根ざした材はその利用シーンや生活により味の出方が千差万別で、なかなか一般的なことが言えません。
例えば、電車の枕木として非常に負荷のかかる使われ方をした材は下の画像のような風化の仕方を。
住居の床材や壁材などとして利用された材は下の画像のような風化を。
場合によっては塗装がされることもありますね。
よくある柱材はこのように風化します。家屋のどの場所に使われているか次第で、風合いの纏い方も異なりそうですね。
5.古材の選び方。3つのポイント。
そんな古材ですが、実際に購入/導入する際はどのような観点から選べばよいのでしょうか? もちろん、感性は人それぞれ。とやかくお話することも少ないかと思います。
ただそれでも、やはり気に入った一本一枚に是非とも出会っていただきたく思いますので、僭越ながら、私たちが古材とふれあう中で感動を得た「3つのポイント」をお伝えいたします。ご参考となれば幸いです。
3つのポイント、それは
・機能
・デザイン
・ストーリー
の3点です。
機能
まず、保存状態によってその機能に差が出ることに注意してください。
一言に「古材」として表現される材ですが、その用途や品質は様々です。
機能面では、各材の共通点として「乾燥が進んでおり、硬度が高くなっている」という特徴が見られます。
それゆえ、加工後のソリや狂いなどは比較的少なく済む傾向があります。その点、古材一枚板をテーブルやカウンターなどに活用するのは非常に有効ですね。
ただ、もちろんメリットばかりではありません。乾燥は一見強みとして聞こえますが、古材は「乾燥しすぎている」のです。硬度が高くなっている一方で、ねじれや曲がりへの耐性が落ちています。そのため、建材としての活用など、様々な方向に強く力がかかるシーンでの利用はあまりオススメできません。
デザイン
シンプルに見た目で決めてしまうのも有効です。
古材はその全てが、人為的にコントロールできない要素に影響を受け、世界に唯一のものとして現在まで形を残しています。もちろん、同じものは二つとありませんし、その生産に再現性もありません。
ある種、人生と似ているようにも思います。
そうした意味で、まるで一目惚れのように、目に入ったその時や手に取った瞬間、もし何か感じることがあればその古材を選択してもよいかと思います。
このような偶然の出会い、驚くほど人間味のある不思議な感動。
私たちはその現象を“セレンディピティ”と呼んでいます。
*もしこうした出会いを見付けたい方がいらっしゃれば、ぜひ倉庫へとご案内させていただきますので、お気軽にお声がけください。
ストーリー
あなたの今後の人生やこれまでの日々、その材で彩られた空間で演出したいストーリーと照らし合わせることも有効です。
古材はみな同様に「長い時間を過ごしてきた材」ではありますが、その時間の過ごし方は様々です。倉庫の奥でひっそりと眠っていたものもあれば、学校などのフローリングとして使用され、毎日多くの人々に踏みしめられたもの。日本の古民家古材で言えば、囲炉裏の頭上に設置され、毎日煙で燻され煤の風合いをまとったもの。
他にも船の甲板、線路の枕木、ペンキで塗られた家屋の壁材、湖に沈んでいたもの、伐採後の株の根の部分、製材後に雨風にさらされるような場所に放置されたものなど
数十万年もの昔から、人々は木と共に生きてきました。
それゆえ、活用シーンも様々です。
各材がどのようなストーリーを経験しているものなのか、購入の際は是非販売員に確認する古都をオススメ致します。きっと、より強い愛着が湧くようになるかと思います。
6.まとめ_古材の種類について
以上、古材の種類をざっくりとご紹介させていただきました。
結論、古材の表情は千差万別であり本物をその目で確認しないとなかなか購入には踏み切りづらいかもしれません。
ワールドデコズでは現地倉庫へのご案内も行っております。
あなたの人生を、その横で支える一本一枚と出会えるそのお手伝いを、私たちが担える日を心待ちにしております。